成年後見制度について

認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々は、不動産や預貯金などの財産を管理したり、身の回りの世話のために介護などのサービスや施設への入所に関する契約を結んだり、遺産分割の協議をしたりする必要があっても、自分でこれらのことをするのが難しい場合があります。

また、自分に不利益な契約であってもよく判断ができずに契約を結んでしまい、悪徳商法の被害にあうおそれもあります。このような判断能力の不十分な方々を保護し、支援するのが成年後見制度です。

 

成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度の2つの種類があります。


法定後見制度

  後見 補佐 補助
対象となる方

判断能力がほとんどありません

日常的な買い物も一人ではできません。

重度の認知症で常に介護が必要な状態です。

常に援助が必要です

日常的な買い物はできますが、重要な財産行為はできません。

本人が自覚しない物忘れがしばしばあります。

援助が必要な場合も有ります

重要な財産行為は、誰かに援助してもらう必要があります。物忘れがあり、本人にもその自覚があります。

 

申し立てをすることができる人 本人・配偶者・四親等内の親族・検察官など
成年後見人等の同意が必要な行為 なし 民法13条1項所定の行為 申立の範囲内で家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為
取消が可能な行為 日常生活に関する行為以外の行為 同上 同上
成年後見人等に与えられる代理権の範囲 財産に関する全ての法律行為 申立の範囲内で家庭裁判所が審判で定める特定の法律行為 同上

任意後見制度

対象となる方

ひとりで決められます。現在は大丈夫ですが、将来の不安に備えたいと思います。

申し立てをすることができる人 任意後見制度は、十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になる場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に自身の生活、療養監護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。

一般的な手続きの流れ